日本の多くの企業がデミング賞を目指しました
今朝のテーマは大変難しいですが、日本の今後の景気回復を占う意味で大変重要です。日本が戦後ここまで経済回復を成し遂げたのには理由があります。それは日本のお家芸と言っても良いでしょう。外国から原材料を輸入して、それを立派な製品に仕立て上げて輸出するという加工貿易です。それには品質の高い製品を生み出さなければなりません。戦後の経済回復を成し遂げさせたのは優れた品質管理システムです。品質管理システムといえば私たちの頭にすぐに浮かんでくるのが、地球の裏側のアメリカで開発されたtqcトータルクオリティコントロール品質管理システムです。その最高峰はデミング賞でした。日本の多くの企業がデミング賞を目指して、この難しい品質管理システムに挑戦しました。最終的にデミング賞を獲得できたのはわずか12社余りでした。トヨタ自動車がデミング賞を受賞できたのは言うまでもありません。建設業界では準大手の前田建設がデミング賞を受賞しています。
その最重点課題がトレーサビリティーです
優れたtqcトータルクオリティコントロール品質管理システムでしたが、重大な欠陥がありました。膨大な作業時間を要するQCサークル活動を社員や非正規社員にやらせました。QCサークル活動が時間外で行われるということが理由で、十分な時間外手当が支払われませんでした。しばらくするうちに社員たちから愛想を尽かされ、Tqcトータルクオリティコントロール品質管理システムは、あえなく、日本から無くなってしまいました。それに代わって彗星のように現れたのがスイスのジュネーブに本部がある国際標準化機構が提唱する品質管理システムです。国際標準化機構の提唱する品質管理システムではその最重点課題がトレーサビリティーです。トレーサビリティーとはある製品が製造された製造時点にまで遡ってその品質が確認されなければならないという考えです。例えば建設工事のコンクリート打設工事などでは、コンクリート打設場所ごとに強度を確認するテストピースが採取されました。コンクリートのその場所の品質は、その日採取されたテストピースによって代表されるという考えです。
校正業者の適正さを認定する基準と制度です
このようにISO国際標準化機構が提唱するトレーサビリティーの基準はなかなか難しいものです。それがそのままの形で実現されているのが、ISO17025です。ISO17025は、平たい言葉で表現すればjcss校正をするような校正業者の適正さを認定する基準と制度です。ですから今の日本ではjcss校正ができるような業者は、ISO17025の認定を受けていることが必要な基準となっています。